業界初導入に歴代最高のいいね数獲得! 契約数増加・解約抑止のWebフォント機能 『さくらインターネット』

インターネットで自分の会社や店を宣伝したい、趣味のページを立ち上げて情報を発信したい……。Webサイトを作る理由は千差万別でも、その公開のために個人や法人を問わず多くの人が利用している「レンタルサーバ」サービス。数多くのレンタルサーバ事業者が参入し競争を繰り広げている中、1990年代のインターネット黎明期から、自社運営のデータセンターでインターネットインフラサービスを提供しているのが『さくらインターネット』さんです。

2016年6月、レンタルサーバ会社として初めて、サーバ利用者が無料でモリサワのTypeSquareを利用できる〈さくらのレンタルサーバ×TypeSquare〉を開始しました。

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なぜWebフォントを導入することになったのか、TypeSquareをどのように活用しているのか、システムの構築を担当された技術本部 ビジネス推進グループ マネージャーの中島英児さんと同グループの谷口元紀さん、広報を担当されたセールスマーケティング本部 マーケティング部の室野奈緒美さんにお話を聞いてきました。(以下、敬称略)

sakura01谷口元紀さん(左)と中島英児さん(右)。室野奈緒美さんはテレビ会議システムでの参加

初めての試みが、史上最高数の“いいね!”に

— 2016年から〈さくらのレンタルサーバ〉利用者に向け、WordPressを利用する際に追加料金なしでTypeSquareが利用できる業界初のサービスを始められました。まずは導入のきっかけから教えてください。

室野「モリサワさんとお話しているときにたまたま思いつき、その場で相談したところ、やりましょう! と言っていただけたのが最初です。それまでWebフォントの存在は知っていましたが、利用者それぞれが個別に契約をしないと使えないものだと思っていました。しかし、サーバを通して各利用者に配信が可能だとうかがって、レンタルサーバサービスの目玉になると思い、社内に提案したんです」

中島「これまでは自前で開発したサービスをお客様に提供してきたので、別の企業さんとコラボレーションをするのは初めての試みでした。そのため、リリースに至るまでの課題が多かった。たとえば、『さくら』のサーバは共用型なので、Webフォントを都度インストールする方式だとパーミッションの問題があります。そのため、使うフォントだけ読み込む方法を採用したり……。そうした課題を一つひとつ解決して、半年以上かけて実装しました」

— 初めて尽くしの試みでしたが、不安や心配はありませんでしたか?

中島「何より、Webフォントが本当にユーザーのニーズにマッチしているのか、正直不安でした。ニッチな部分にしかアプローチできないかもしれないと考えたこともありました」

室野「私は、Webフォントを使いたい人はたくさんいるはずだと考えていたので、必ず喜ばれるだろうという確信に近いものを持っていました。でも、リリース後の反応は、その想像をさらに超えるものでした」

谷口「リリース後、SNSで過去最高数の“いいね!”やリツイートがありました。Webフォントをすでに知っている人たちが最初に反応してくれ、その後幅広い方に認知されていった感じがします。それに伴い社内も盛り上がっていきました」 中島「社長も、こうした試みが業界そのものを活性化し、日本のホームページがきれいになるきっかけになるのでどんどんやっていこうと後押ししてくれました」

“表現したい”というニーズがあった!

— 『さくら』さんが〈さくらのレンタルサーバ×TypeSquare〉を導入して以降、Webフォントの知名度が上がり、存在がより一層スタンダードなものになってきたと思います。

中島「これまでWebフォントを使うためには、サーバのレンタルとフォント、2つの契約が必要でした。複数の契約を行うことは、初心者のユーザーにとってはハードルが高い。それが一つの契約の中でWebフォントが使えるようになり、Webフォントの敷居を下げたという手ごたえはありました」

谷口「私はもともとWebデザインに携わっていたこともあって、最初にこのプロジェクトを聞いた時、これはアツい! と興奮しました。ただ、社内のエンジニアは反応が薄かったんです。これは何の役にたつんだ? って聞かれたこともありました(笑)」

中島「ユーザー目線を大切にしていきたいとは常々考えていますが、開発の際はつい高速化や安定化といったエンジニア目線になりがち。しかし、Webフォントはユーザーの“表現したい”というニーズに沿うことができたのだと思います」

谷口「リリースの翌月から活用事例を紹介するイベントを全国数カ所で行いました。以前の当社主催イベントの参加者はエンジニアがほとんどでしたが、この時はプロのデザイナーやクリエーター、デザイン系の学生にも多く参加していただきました。これまでとは異なる層の方々に『さくら』を知っていただき、新たなユーザーを獲得することができました」

室野「実際にイベントなどで新しい層のユーザーへの手ごたえを感じたことから、社内でも『デザイナーなどへアプローチするにはどうしたらいいのか』という意見が出るようになりました」

中島「これまではサーバの高速化や安定化、そして低価格化などがお客様から求められていることなんだと考え、サービスの中で表現に関することは後手に回っていたんです。しかしWebフォントの導入が、Webサイトをきれいに見せたい、読みやすくしたいといったニーズに目を向けるきっかけになったんです。サービス内の“表現”の優先度が格段に上がったのを実感しています。Webフォントによって、社内の風向きまで変わったんです」

sakura02谷口元紀さん(左)と中島英児さん(右)。大阪本社のバーカウンターの前で。

プロフェッショナルから初心者まで取り込んだWebフォント

— Webフォントの導入以降、ユーザーからの反応はいかがですか? 初めて触れる方などからお問い合わせが増えたりしませんでしたか?

中島「そうした懸念もあったのですが、いざリリースしてみたら、お問い合わせや苦情はほとんどありません。WordPressのプラグインで選択するだけという非常にシンプルな操作なので、初心者の方にとっても分かりやすいのだと思います。もちろん、すでにWebフォントを活用していたプロの方にとっても負担が減ったと思います。手軽にWebサイトを作りたい人も、作り込みたい人も、どちらも取り込めるサービスになりました」

谷口「プロの方により満足していただけるよう、リリースの3カ月後には、特定のCMSに限らず、タグを記述すればすべてのWebサイトで使えるように機能を追加しました。また、初めてWebフォントを使われた方からは、SNSを通じ、文字がきれいになってうれしい、モリサワのフォントが無料で使えるってすごい、などの反響をいただきました。これまで使ってみたいと思っていた方のニーズにヒットしたんだと思います」

中島「Webフォントはかつて、読み込むのに時間がかかったりして、とても大変なものという印象がありました。しかし今は、必要な文字だけのフォントデータを配信する機能を持ち、必要最低限のデータ量で非常に高速に表示することができます。そのバックボーンを支えているのが、これまで取り組んできたサーバの大容量化や高速化、安定化です。そこにこれからは“表現”というベクトルが加わる。今回のWebフォントの導入は、私たちにとっても非常に良いタイミングだったんです」

— 自分のブログやホームページがきれいで読みやすいというのは、これまで提供されてきたサービスとは全く異なる価値を提供されているということですね。

中島「コンテンツを充実させたいというユーザーに向けて、他社との差別化に繋がっていくと考えています」

fig02定番の明朝体やゴシック体からUD書体まで、全30種類が使用可能

契約数を伸ばし、解約の抑止にも繋がっている

— 現在、選べるフォントは30種類。どのフォントを使おうかと考える作業はユーザーにとって楽しいものですね。

室野「ありがとうございます。実は最初は2〜3種類のみの予定だったんですが、モリサワさんにお願いして30種類を揃えていただきました。フォントのセレクトは広報宣伝室を中心に、社内でWeb制作に関わっているメンバーに声をかけて行いました。まず、見出しや本文に使用した際に可読性の高い実用的なもの。次に“ファッション”や“かわいい”などのテーマを挙げて遊び心を感じるものも選びました」

谷口「ユーザーからは、もっと数多くの種類のフォントを使いたいというリクエストも届いています。これは今後の課題として、モリサワさんと一緒に検討していきたい。よろしくお願いします(笑)」

室野「Webフォントの導入は、ユーザーのニーズにマッチしたことでヒットしました。導入を検討していた時期、会社が〈お客様と共に〉をテーマの一つに掲げていたので、まさにそれに沿ったサービスを実現することができたんです。これからもお客様に喜んでいただけるサービスに取り組んでいきたいと思います」

中島「Webフォントの導入が支持されたことで、契約数が伸びただけでなく、他社への乗り換えが減少し解約の抑止にも繋がっているんです。これからもユーザーの要望を汲み取り、より価値のあるサービスを提供していくために頑張ります」

— 日本のホスティングサービスを牽引する『さくらインターネット』さんの今後の展開が楽しみです。本日はありがとうございました。